古都鎌倉—海を見下ろす長谷寺は、古より人々の深い信仰を集めてきました。本展では、観音様の慈悲が息づくこの地で紡がれてきた「鎮魂」の営みに光を当てます。
歴史上、幾多の戦乱や災害を経験してきた日本において、人々は神仏に祈りや救い、そして魂の安らぎを求めてきました。鎌倉の潮騒が聞こえる長谷寺は、まさにそうした鎮魂の祈りが捧げられてきた象徴的な場所です。
本展では、長谷寺に伝わる貴重な寺宝をはじめ、一昨年新たにお迎えした仏像を含めて、脈々と受け継がれてきた鎮魂の美術作品を一堂に展示するほか、第二次世界大戦中に長谷寺が歩んできた道のりも一部ご紹介できればと思います。
穏やかな潮騒の音に耳を傾け、観音様の慈悲深いまなざしを通して、過去から現代へと続く祈りの道のりを感じていただければ幸いです。