巻き替え・ザ・ファイナル 1年納めの縁起絵巻展

すっかりブログの更新が滞ってしまいましたが、気づけば紅葉も終幕にさしかかり、早くも年の瀬です。1年の終わりを実感させてくれる行事やイベントはさまざまですが、長谷寺をはじめ観音さまをご本尊とするお寺では、12月18日の「納めの観音」がそれに当たるといってよいでしょう。毎月18日の観音さまのご縁日のうち、1年のしめくくりを飾るのが「納めの観音」です。(これに対して、1月18日は「初観音」とよばれています。

縁日というとお祭りの屋台を連想する人が多いと思いますが、本来は「有縁(うえん)日」または「結縁(けちえん)日」の意で、毎月の決まった日にある特定の神仏にお参りすることで、普段よりも大きなご利益を授かれるとする庶民信仰に由来しています。

みあし参りポスター2017

ちなみに当山では、納めの観音にあわせて「御足(みあし)参り」がおこなわれ、観音さまの足に触れてお参りすることができる1年に1度の機会となっています。また、門前では鎌倉で唯一となった「歳の市」も開催されます!

 

私たちの観音ミュージアムでも、納めの観音にあわせて、12月18日までの日程で「平成29年度秋季展 長谷寺縁起絵巻」を開催しています。ただ、上・中巻あわせて30メートル近くにもなる長大な絵巻を一度に全て広げて展示することはできないので、会期中5回の巻き替えをすることで主要な場面を紹介してきました。これは先日おこなわれた最後の巻き替えの様子です。

巻き替え0

慎重な手つきで、今まで展示していた場面を巻き上げていきます。

巻き替え2

新しく展示する場面を広げます。

学芸員や修復家・鑑定家など、古美術を扱う専門家は白手袋をつけているイメージがありますが、本作のように紙でできた作品・資料の場合、おおよそ素手で扱うことが多いようです。手袋の厚みで指先の感覚が鈍ったり、手袋の繊維が紙の繊維にひっかかったりするのを防ぐためです。爪はきれいに切っておき、時計や指輪も外すなど、作品を傷めないように細心の注意を払うのは言うまでもありません。

巻き替え3

巻き上げ部に卦算(けさん)を置いて、展示ケースを閉めれば作業完了です。

 

下の写真は、展示室内に置いてあるレプリカ。絵巻展の期間中、どなたでも自由にお手にとってご覧いただけます。

レプリカ1

場面ごとに広げてご鑑賞ください。だいたい自分の肩幅くらいまで広げるのがベストです。

絵巻の場面は右から左に進んでいくので、ある場面を見終わったら右から左へ巻き取っていきます。(写真の緑の矢印の方向。この写真は鑑賞者の対面から撮影したので、左右が逆になっています)

 

次に、閉じた絵巻の全体を両手で持ち上げて、鑑賞者からみて右の方向へ移動させます。(下の写真では向かって左。赤い矢印の方向)

レプリカ2

このとき、絵巻を台の上で引きずるようにしてしまうと、紙を傷めたり小さなごみを巻き込んでしまったりするので、必ず持ち上げて台から浮かせるのがポイントです。

 

レプリカ3

次の場面を繰り広げていきます。

最後まで見終わったら、逆の手順で巻き戻していきます。基本的な仕組みはビデオテープやカセットテープと似ていますね!(最近はあまり見かけませんが……。)

 

少し煩雑になりましたが、絵巻の鑑賞法をご紹介しました。鑑賞者が自分のペースで自由に鑑賞できることが、絵巻本来の魅力のひとつです。ケース内の実物を鑑賞したら、ぜひレプリカを手にとってみてください。

絵巻の展示は「納めの観音」の12月18日(月)までです。年の瀬の風情を味わいながら、今年の芸術鑑賞を当館で締めくくってみてはいかがでしょうか。

なお、12月23日(土・祝)からは新春特集として「秘仏 出世大黒天 ―長谷寺の縁起仏とともに―」がスタートします。みなさまにとって、平成30年がすばらしい1年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

(学芸員Mn)