第1回「円空仏彫刻にチャレンジ!」を開催しました。

7月23日(土)に企画展関連イベント「円空仏彫刻にチャレンジ!~手の平に収まるかわいいほとけさま~」の第1回目が開催されました!

たくさんのご応募をいただき、定員以上の15名様のご参加をいただきました。

まず、ご本尊の十一面観音菩薩像にお参りし、観音ミュージアムに展示されている円空仏を拝んだのち、早速円空仏彫刻体験へ・・・

彫刻師の林先生のご指示のもと、一緒に彫り進めていきます。

CIMG4437

皆様真剣に彫られていますね・・・
CIMG4433

完成した円空仏
どのほとけさまもとってもかわいくできました!
林先生がこの日のために作ってくださった観音さまと一緒に阿弥陀堂へ向かいます。
IMAG1431

最後に当山の僧侶と一緒に般若心経をお唱えして、皆様それぞれの願いをご自身の円空仏に込めます。
CIMG4459

ご自身で作った円空仏、ぜひ大切に末永くお持ちになって下さい。
御参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!

CIMG4469

夏の企画展開催中ミュージアムトークを行います

夏の企画展「カワイイKawaiiほとけさま~素朴な造形の世界~」開催期間中、当館学芸員によるミュージアムトークを行います。

より詳しい展示品の解説が聞け、理解が深まること間違いなしです!

参加をご希望の方は14時までに観音ミュージアムにお越し下さい。

皆様の参加をお待ちしております。

【ミュージアムトーク開催日】

7月30日(土)14:00~
8月6日(土)14:00~
8月13日(土)14:00~
8月20日(土)14:00~
9月3日(土)14:00~
9月10日(土)14:00~
9月17日(土)14:00~
9月24日(土)14:00~

夏の企画展のみどころ「造仏聖 円空のほとけさま」

開催中の夏の企画展「カワイイKawaiiほとけさま~素朴な造形の世界~」では、江戸時代の造仏聖として知られる円空による護法童子像がご覧いただけます。

《護法童子像》円空作 江戸時代 17世紀
《護法童子像》円空作 江戸時代 17世紀

そもそも、円空ってだれ?・・・と思われる方も多いと思います。
円空(1632-1695)は、江戸時代の寛永九年(1632)に美濃国(現在の岐阜県)に生まれた僧侶。
奈良の大峰山(おおみねさん)、滋賀の伊吹山(いぶきさん)、加賀の白山(はくさん)などの霊山で修験道の修行を積んだといわれます。その折々でお世話になった周辺村落の住人に対し、宿や食事のお礼、人々の祈りのために仏像を彫り続けました。

造像の最も早い例は、円空が32歳のとき、寛文3年(1663)の岐阜県郡上市美並町神明神社の三体です。その後、近畿地方から北海道までの諸国を遊行して、「造仏聖」として活躍しました。造った仏像の数は、なんと生涯に12万体ともいわれ、現在までに5000体以上が知られています。

どうしてこんなにたくさんの仏像をつくったのだろう?・・・と疑問に思いますよね。
円空は、幼いころに母を洪水で亡くしていて、その母を弔うために造仏をはじめたとされます。そして、旱ばつや貧困で苦しむ農民のために祈り、庶民の救いを願い、仏菩薩や各地の神々を広く供養するため、たくさんの仏像を彫りだしていきました。
円空の造った仏さまは、その多くが、現在でも村落の人々に大切にされています。
昔から人々の近くに寄り添っていた親しみ深い仏さまだったのでしょう。
なんだか仏さまとの距離の近さを感じてきますね。

では、《護法童子像》を見ていきましょう。

円空 護法童子像2
円空 護法童子像3

大きさは30センチほど。頭全体を逆立てた髪でおおい、胸の前で手を合わせる姿。お顔を見ると、切れ長の目がスッと引かれ、目を細めて笑っているようです。目、口、鼻が適度に簡略化されているので、穏やかな表情が感じられます。細かい部分は大胆に省略され、木の素材感を生かした荒い彫りが特徴的といえるでしょう。

このような“木”を全面に生かした造形の根底には、霊山での修行で培った自然への畏敬の念があったのだと思われます。時にはねじれたままの木を使って観音像を彫ったり、また時には10センチ程の木っ端に刻まれたり。自然に逆らうことはなく、素材の良さを最大限に引き出した彫りをみせるのです。ちなみに、《護法童子像》も少し右向きに造られています。
円空は、木そのものの中に神や仏が宿っていると考えていました。だからこそ、手を加えるのは最小限にして、木の持つ質感や姿、形をそのまま使ったのです。

さて、造形の大胆な省略や木の素材を意識した荒い彫りの造像は、円空以前から脈々と受け継がれてきたものであると示されています。その造形は、平安時代から続く神像彫刻に見ることができるのです。神像は、時代を通して一木造りが中心で、時代が下るにつれ、ひざ前を縮小したり、衣を省略したり、造形の簡略化が進みます。これは、造形力の衰退ではなく、神が神聖な木に降臨するという観念によるものだと考えられます。素材そのものが神としての役割を果たしているのです。

このように考えると、円空の仏さまにみられる造形の省略は、神像彫刻の伝統的な表現を踏襲するものとみなされるのです。つまり、古代より日本人が持ち続けてきた木への信仰、その何千年もの伝統の上に円空は位置づけられるのでしょう。円空が生まれ育った美濃は、白山をはじめとする山岳信仰で名高い土地でした。そのような環境下で木への信仰も培われ、神像に触れる機会も多くあり、円空の造像基盤ができていったのだと考えられます。

でも、そんな研究者の話など忘れて、ただただ、仏さまの前にいると、円空の温かさが伝わってきます。
日常の愚痴なんかもそばで聞いてくれそうな感じがしてくるのです。
今日も失敗しちゃったな・・・なんて言うとなぐさめてくれそうな。

あなたは円空の仏さまに何を語りかけますか?

学芸員O

カワイイKawaiiほとけさま~素朴な造形の世界~

この夏、観音ミュージアムにカワイイほとけさまが集結します!

わたしたちが何気なく日常で使う“カワイイ”という言葉。辞書には、「愛らしい・小さい・幼い」などと記述されます。最近では海外でも“Kawaii”が通用するようになり、様々な場面で多用されるようになりました。
 さて、仏教美術の中でも、思わず“カワイイ”と言ってしまうような作品があります。その多くは歴史を通じて一般庶民の中で育まれた、民衆的な造形でした。それらは、きらびやかな造形というより、どちらかというと素朴でシンプルな、まるでゆるキャラのように親しみのあるものばかりです。

護法童子像 円空作 江戸時代(17世紀)
護法童子像 円空作 江戸時代(17世紀)

本展では、鎌倉長谷寺の所蔵品のなかで民衆的で素朴な造形に焦点をあて、“カワイイ”ほとけさまを紹介します。微笑みカワイイ円空仏や、哀愁漂うどこか可愛げのある鬼、小さいお像など、あなたのとっておきが見つかるかもしれません!

小杉放菴《白衣観音図》大正時代
小杉放菴《白衣観音図》大正時代
棟方志功《御滝添観音菩薩図》(部分) 昭和時代
棟方志功《御滝添観音菩薩図》(部分) 昭和時代