長谷寺 出世大黒天のひみつ

現在開催中の「新春特別公開 秘仏 出世大黒天 ― 長谷寺の縁起仏とともに ― 」展ですが、本展覧会は、長谷寺伝世で応永(おうえい)19年(1412)の銘を持つ大黒天立像が、昨年(2017)2月に鎌倉市の文化財指定を受けたことを記念して開催しました。

木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘)
木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘)

この大黒天像ですが、最新の調査により制作年代の判明する大黒天像の中では、東日本最古であろうという見解が示されました。
出世大黒天様おめでとう!!

その銘文ですが、ちょっと変わったところに書かれているので、今回はその紹介を致しましょう!

この大黒天像、実は現在のお姿は修理が為されたものになります。
修理前は残念なことに見るも無残なお姿でした…

木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘) 【修理前】正面
木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘)
【修理前】正面

横から見ても袋が無くて、なんだかバランスが悪いですよね…

木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘) 【修理前】左側面
木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘)
【修理前】左側面

しかし、修理後は袋も付けられて、これぞ大黒様っ!

木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘) 【修理後】左側面
木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘)
【修理後】左側面

そして、現在の大黒天像がこちらなのですが…

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ここに注目です!!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そう!こちらの留め金です!

出世大黒天像 留め金

修理後に取り付けられた袋部分が、本体から脱着可能になっているのです!
なぜこのような使用にされたかというと…
実は背面の矧面(はぎづら)部分に墨書(ぼくしょ)で、銘文(めいぶん)が書かれているからなのです。

木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘) 背面矧面銘文部分
木造 大黒天立像(応永19年〈1412〉銘)
背面矧面銘文部分

銘文には以下の内容が記されています。

出世大黒天像 背面矧面銘文003

写真赤枠部分が赤字の制作年代が記された場所に相当します(※赤字はブログ執筆者によるもの)。
この銘文により、こちらの大黒天像が応永19年(1412)の造立(あるいは修繕)と考えられ、室町期の作例だと判断できます。
室町時代からそのにっこり笑顔で人々の悩みや願いに寄り添ってこられたのだと思うと、尚のことありがたく感じられますね。

因みに、本展覧会では大黒天との習合(習合)を果たした大国主命(おおくにぬしのみこと)がどういった人物であったのかを分かりやすく紹介するため、日本昔ばなし「因幡(いなば)の白兎(しろうさぎ)」(※©日本コロムビア株式会社)の上映も行なっています。
週末にはお子さんたちの鑑賞も見受けられ、大盛況♪
ありがたい限りです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

他にも打出の小槌(こづち)を振っていただけるコーナーがあったりと、楽しい企画が満載っ!
願い事を念じて誠実な気持ちで振っていただければ、必ず願いは叶うはずです。
かく言う私もこの小槌で願いが叶った者の一人!
何が叶ったのかはひみつですが…
ミュージアムへ来館されたらぜひぜひ試してみて下さいね。
出世大黒天像の前で振ったら運気も倍増!…かも!?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

会期もいよいよ残り少なくなってきました…
出世大黒天像をご覧いただけるのは今がチャンス!!
本展覧会は2月4日(日)まで。
皆さまのご来館をお待ちしております。

学芸員 H